目標

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経営者が「中長期的な目標」や「当面の課題として」、「具体的検討を進める」など期間をはっきりと定めずに経営戦略を語るとき、それは先延ばしになったり頓挫したりすることが少なくないように感じる。

このネットフリックスCEOは「7年以内に日本で1000万世帯の会員獲得を目指す」と発言しているけれど、きっと彼の頭の中には漠然とした目標ではなく、「7年以内に日本で1000万世帯の会員獲得」するための具体的ロードマップが描かれているのだろうと考える。

今読んでいる角田光代の『世界中で迷子になって』は旅先でのエピソードや日々の生活の出来事を綴ったエッセイ集なんだけど、昨日読んだ「道具派という人たち」にこんな一節があった。

“わかりやすい目標があれば、達成とか挫折とかがある。それらはやめる理由になる。”
“だから、こちらもまた、やめるきっかけがない。本当に、人は目標さえたてなければ、何ごともずるずると続けていられるのである。当然、上達もレベルアップもしないけれど。”

なるほど、そういう考え方もできるものだと思った。達成や挫折は、目標があるからこそ生まれるのだ。
もしかすると前述のヘイスティング氏は7年後に日本で1000万世帯の会員獲得が達成できなくて、日本撤退をするかもしれない。一方、私が「中長期的な」なんて曖昧な目標設定しやがって!と言った企業の方は、「じっくり、のんびりいこうや」と思っているのかもしれないし、それを大切にしているからこそ自らに期限やプレッシャーをかけるのではなく、試行錯誤でなんとか成功させたいと考えているのかもしれない。

ぜんぶ想像だけど。

では私はどうだろう。私は「達成できそうな目標だけ公言する」タイプで、そこには達成感や成長があまり(というかほとんど)ない。失敗したときに恥をかくリスクを避けているのだ。

人それぞれ、また物事により目標の立て方や進め方というのは違うと思う。けれど、これまでとは違った生き方をしてみるという意味で、「ちょっと達成には苦労しそうな目標」でも立てて取り組んでみたいものだなと思う木曜日の朝。