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夫婦別姓訴訟 国民的議論求めた最高裁
 夫婦同姓を定めた民法の規定は憲法に反しないという最高裁大法廷の判決は、夫婦の姓と家族のあり方について国民的な議論を求めたものといえる。
 法相の諮問機関の法制審議会は1996年に、「選択的夫婦別姓制度の導入」や「再婚禁止期間の100日への短縮」などを盛り込んだ民法改正要綱を答申したが、家族の一体感が損なわれるなどの異論が相次ぎ、法案の国会提出は見送られた。最高裁判決は法制審の答申から20年近く、本格的な議論を避けてきた国会の不作為を責めるものでもある。
 女性の再婚禁止期間を6カ月とする民法規定は違憲という最高裁判断は明快であり、政府、国会はただちに民法改正案の審議に入らなければならない。
 法律で夫婦同姓を義務づけている国は世界で日本だけといわれ、選択制が主流の国際社会から取り残された印象であるが、戦後の現行民法が夫婦同姓を定めているのは、旧民法のように「家制度」に基づくものではなく、どちらの姓を名乗るかの選択を夫婦の自由意思にゆだねながら、新たな戸籍で出発する家族の自覚と安定を促す趣旨と理解できる。
 夫婦同姓には合理性があり、旧姓を通称として使用することが社会に広がってきたことから、同姓を強いられる苦痛も緩和されているという最高裁判断は、必ずしも時代遅れとはいえない。
 選択的夫婦別姓に対する国民の意識は揺れている。政府の2001年の世論調査では、別姓に「賛成」が42・1%、「反対」が29・9%だったが、12年調査では「反対」が36・4%、「賛成」が35・5%となっている。
 家族のあり方に関する制度変更は社会的な合意が必要であり、国民に判断材料を示す上でも、国会は真正面から問題に向き合い、議論を重ねる必要がある。
 婚姻は夫婦の「同等の権利」と「相互協力」で維持されるものであり、婚姻や家族に関する法律は「個人の尊厳」と男女の「本質的平等」の上に制定されなければならないという憲法規定(第24条)をあらためて認識したい。
県民がこれを読んでどう考えるか