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個は集い、大衆は群れる。

 震災以後、私たちは幾度となく「集う」機会を経験してきました。「集う」と「群れる」は違います。個は集い、大衆は群れる。
 特定の思想信条を掲げながら群衆の中に溺れると人は、個では何もできないと思い込んでしまう。こうした思考は今の日本にある、大きな落とし穴ではないでしょうか。「群れる」と人は、個々の心にある苦しみや悲しみを十分に顧みることができなくなる。個の問題よりも、世に言う「大きな」ことの方が重要に思えてくる。
 「集う」のはよい。でも、そこでも人はあくまで個である尊厳と意味を見失ってはならない。それは被災地の現状を考えるときも、とても重要な視座のように感じられます。

(東日本大震災5年)私たちは変わったのか:1 記憶と忘却:朝日新聞デジタル