平日の動物園

無職31日目。

 

はじめての失業手当受給日(?)を迎えた。実際に振り込まれるのは一週間以内とのこと。ハローワークは、当たり前だけど同じ日に失業手当受給日を迎えた元社員で溢れかえっていて、同窓会さながらの雰囲気。無職だけど陽気な人々。ほかの利用者は嫌だったかもしれない。

 

 

朝ごはんをスキップしたせいでお腹がすいて、昼はひとりでハチバンイートイン。

誰かの「気の緩み」発言が取りざたされていたけれど、外食も「気の緩み」とか言われたら、たまったもんじゃない。大雑把な言葉の影で振り落とされていく、個人の様々な思いがある。言葉が大きくなれば大きくなるほど、切り捨てられていくものが多くなる。私はそういうものがとても嫌い。

 

 

 

 

午後、義理のお母さんといしかわ動物園に行ってきた。

いしかわ動物園は、かれこれ6年以上前に一度訪れたきり。動物園がない新潟で生まれ育ち、初めて家族で行ったのは群馬サファリパークだった私にとって、ローカル感溢れる同園は新鮮だった。

 

驚いたのは、他の動物と別格扱いの「トキ里山館」。

2016年にオープンした同コーナー。トキの扱いが国賓級である。担当の職員さんによると「トキ里山館」は県知事の肝いりで、なんと建設費10億円(!)、2018年(だったっけ?)の大雪被害による対策で、天井ネットに融雪装置を設置するためにさらに4000万円がかかったそうな(職員さんがいろいろ教えてくれた)。ガラスはマジックミラーになっていて、ヒトからトキは見られるけれどトキからこちらは見られない。神経質なトキに優しい造り。館内には人口の棚田があって、松まで植えられていて、資料館はまるで石川門のように立派、というか加賀百万石!って感じだった。

 

聞けば聞くほど、トキという鳥は政治や権力争いに利用されてきたんだなと思ったけど、トキに罪はない。この立派な施設だけでも一見の価値あり、さらに担当職員さんはトキをはじめ鳥類にとてつもなく詳しくて、おしどり夫婦の由来や白鳥の習性についても面白く(大人向け)教えてくれたので私と義理の母は大いに満足した(二人とも凝った話が好き)。

 

 

無職のあいだに年間パスポートを買って動物園に通い、ZINEを一冊作ってみようか、と思った。

 

 

 

余談だけど、ゾウが身体に砂をかけていて、その理由が気になって調べたら面白いページを発見。

京都市動物園の「ご意見箱」に寄せられた疑問に答えるページ。

質問の数がめちゃくちゃ多い。「ぞうさんがなんでないていたのかききたいです。」とか、「ヤギは橋の上から落ちませんか?橋からうんちしません?」とか、「なぜ山羊の目の目は黒目はマイナス(-)なんですか?」(※掲載質問原文ママ)とか、NHKラジオの「子ども科学電話相談」みたいで質問を見ているだけで面白い。

www5.city.kyoto.jp

 

 

ちなみに砂をかける理由はここにあった。

https://www5.city.kyoto.jp/zoo/uploads/image/anone159.pdf

(なんでゾウは、からだにすなをかけるんですか?)

 

 

 

 

 

 

 

おとといから、スペクテイター最新号「秋山道夫」特集を読んでいて、このタイミングでこの本を読めることが有り難いと思う。

 

ふと、私はお金にならない文章を書きたいと思った。

矛盾もあるだろうし、うまく説明ができないし、限りなく感覚的なことではあるけれど、お金になることを前提としない方が、本当に届けたい人に届くような気がした。

 

 

終わり。