令和の子

Netflixの「日本沈没2020」があまりに酷くて(3話まで視聴)ちゃんとした映画が観たくなり、気が付いたら観る機会を逃していた「天気の子」をレンタルしてきた。

 

先日のブログで出産に対する恐怖心の話を書いたけど、私にはそれ以外にも子どもが欲しくない理由がたくさんあった。

子どもが生まれてくる時代に対して責任が持てないことも、理由のひとつだった。

 

1990年生まれの私なんて、バブル崩壊直後に生まれた「失われた〇〇年」世代と言われているし、9.11、イラク戦争リーマンショック東日本大震災就職氷河期、地球規模の温暖化と異常気象、それに加えて今回の新型コロナウイルス騒動だ。無駄に知識を付けて世の中を知った気になればなるほど「将来、世界はこれまで以上に悪くなっていくに違いない」と考えるようになって、これから生まれてくる子どもに希望がないとか、暗い未来を背負わされる子どもたちが可哀想だと思っていた。自分は子どもが生まれてくる時代に対して責任が持てないから、困難な人生を背負わせたくないから、産めないと思っていた。

 

 

想像していなかった妊娠をして自分でも驚いたのが、近い未来への不安がなくなったことだった。生まれてくる子どものこともそうで、これから訪れる未来がどんなに大変なものであっても、その中で自分らしく、たくましく生きてくれればそれでいいんじゃないかと思うようになった。責任を投げ出すとかそういうのじゃなくて、その時代に生まれた子どもにはその時代に生まれた子どもの生き方がある、みたいな思い。

 

 

 

 

「天気の子」を観終わって、映画公開に合わせて組まれた雑誌『CUT』の「天気の子」特集を改めて読んだ。

 

新海誠監督はインタビューのなかで、

このところ気候が変わってきて、夏はとても雨が多くなって水害も増えてきたし、心地よかった春や秋のような季節がどんどん短くなってきて、極端に寒い時期と極端に暑い時期が多くなってきて、明らかに気候変動が起きているわけですが、その気候変動の理由は人によっていろんなとらえ方があって、人為的な理由があると言う人もいれば、人間なんか一切関係なく、地質年代的に、あるいは太陽活動の影響なんだと言ってる人もいるわけですよね。大人たちはそれで喧々囂々やっているわけですけど、令和になって生まれた人はもちろん、今小学生ぐらいの子っていうのは別にもうそんなのは当たり前なわけですよ。『日本ってこういう場所なんでしょ』っていう気分で生きてるんだろうし、僕たちが右往左往してるのとは関係なく自分の生まれた場所のことをとらえていると思うんです。

 と話していた。

 

それからハフポストの、このインタビューで語っていたことば。

ちょうど前作『君の名は。』が上映された2016年の暑かった夏あたりから、「これからは、天気は楽しむだけのものではなくなってしまうだろう」と、不安や怖さを実感したのを覚えています。『天気の子』では、そういう今まさに激しく変化している気象現象を、どうやってエンタテイメントの形の中で扱うことができるだろうと考えました。

そんな世界をつくってしまった僕たち大人には間違いなく責任の一端がある。でも気象という現象はあまりに大きすぎて、個人としてはどうしても不安感や無力感に右往左往するだけになってしまう。でも、これからの人生を生きていく若い世代の人たちまで、大人の抱える憂鬱を引き受ける必要はないと思うんです。

異常気象が常態化している世界で生きていく世代には、それを軽やかに乗り越えて向こう側に行ってほしい。帆高と陽菜のように、力強く走り抜けて行ってほしいという思いを伝えたかったんです。

『天気の子』新海誠監督単独インタビュー 「僕たちの心は空につながっている」 | ハフポスト

 

 

ほんとに、こんな気持ち。

 

そういえば緊急事態宣言が出されていた頃、全国的に学校が一斉休校になり子どもたちが突然学校に行けなくなって悲しんでいるだろうと思ったら、夫の英語教室に通う生徒たちは、彼ら・彼女なりに今の状況を楽しんでいるというのを聞いて、大人たちの不安を子どもに押し付けるべきではないと思ったのを思い出した。

 

 

 

最初に「9.11、イラク戦争リーマンショック東日本大震災就職氷河期、地球規模の温暖化と異常気象、それに加えて今回の新型コロナウイルス」とか偉そうに書いたけど、実際のところ、私が親に対して「よくもこんな時代に産んでくれたな」なんて思ったこと一度もないから、わたしたちの元に生まれてくる子どもも、好きなように人生楽しんでほしいな。子どものためにより良い未来を作りたいなんておこがましい思いは一切なくて、その時代を生きる人たちがその時代を作れば良いんじゃないのかなあと今は思う。