友達も実家も遠いこの世界同じ空の下と言うわりには

いつか夫に「最近ハマってるんだよね」と私の短歌をみてもらったところ「短歌って五七五七七七じゃなくなったんだ?」と言われた。私も五七五七七しか知らないけれど、教わったところによるとどうやら破調(字面がかっこいい)というのがあるらしい。つまり必ずしも五七五七七である必要はない。しばらくしてスランプ(?)に陥り、プロのものと比べては自分の短歌があまりに初心者すぎて落ち込んで、こんなの恥ずかしすぎて公開しない方がいいのではと思ったりもしていたのだが(故に短歌をまとめたブログも一度消した)、本屋さんで立ち読みしたある歌集を読んで、短歌って自由でいいんじゃん、と改めて思った。そもそも世の中には初心者でもプロが認める短歌を生み出す人がおり、初心者すぎるなんて言い訳は通用しない。それから私は短歌がけっこう好きだ。心の調子が悪いときに心が短歌に向かう傾向にある。短歌が好き、それだけでこれを続ける十分な理由になると思って改めて自分の短歌を見てみたらそんなに嫌いじゃなかった。このあいだ新潟市の北書店で買った「円盤」のzineがとても良くて、店長の佐藤さんは「zineって無理してかっこつけたりしなくてもさ、伝えたいことがあれば、こういうのでいいじゃんって思うんだよ」って言っていた。佐藤さんが言うとおり手作り感満載で、かえってそれがかっこよかった。短歌の自主制作本とか作りたい。気づいたら100以上になっていた短歌をおおまかにカテゴライズして抜粋したものを掲載します。ちなみに 「迷惑をかけないように生きてるの死ぬときくらい好きにさせてよ」を書いたとき、似たような言葉があった気がすると思って調べたら有名なコピーライターによる広告がヒットした。一致していた。どれだけわたしが「自分で考えた」と言っても後発であるから真似したことになるのだろうなと思ったけれど(実際、記憶の片隅にあった可能性はある)まあ良しとした。

 

世界

世の中に絶望したりしちゃうのはそもそも世界愛しすぎてる

ちきゅうそらうみほしだいちはなひかりうつくしくってなぜかさみしい

ベランダで寝てる私の頬撫でる風はどこからやってくるのか

宇宙から見たらゴミクズわかってるそんなスケールで生きてないけど

振り返る夏の思い出美しいのは単に光が強かっただけ

人は皆自分が見たいものだけを都合よく見て解釈してる

命ある貝の存在知ったから貝殻と貝間違えられない

疑えば全部こわいが信じれば人はやさしい世界はやさしい

 

動物や植物たちの栄養になるような死に憧れている

今まさに生きているにも関わらず死に方ばかり考えている

迷惑をかけないように生きてるの死ぬときくらい好きにさせてよ

 

生活

非現実から目覚めてそしてふと思うこれが私の生活ですか

いますぐにはたらきたいと思ってる値段言えない服買っちゃったから

ネイルしたくすみ緑の根本から1ミリ伸びたわたしいきてる

倫理とか社会規範をふっ飛ばし汚く生きて美しく死ぬ

それなりにキラキラした日をすごしてるあ゛ーとかギャーとか騒ぎながらも

いいですよ全部消してもらっても私は全部覚えてますから

気持ちよくビール飲みたい焼き鳥とやけ酒じゃなくてやりきったねって

今日からはスマホをやめてお手紙を大切に持って眺めて歩く

誰かから褒めてもらえる経験は子どもじゃなくても嬉しいからね

絶対になくさないでと言われると高確率でなくしてしまう

人生で五年ほどしかいなかった場所を思って「東京」を聴く

どうしたの?わからないやと言うときは説明するのがめんどくさいだけ

刺してきて不快にさせる蚊くらいは殺してやるって思っていいだろ

変わってる頭おかしいそうじゃなく人に誤解をされやすいだけ

シャッフルで流れてきた曲にさえ意味を求める人間たち

ほんとうのネタはぜんぜん書けなくてそうしてブログは更新途絶えた

歌詞の意味よくわからない曲を聴き切なくなったり救われたりする

この人は何を思って切なさや悲しさとかを歌っているの

封をして切手を貼ったお手紙を一週間ほどカバンで寝かせる

父のため書いたつもりの文章が自分の心の支えになった

 

人生

つまるとこ茨の道が好きなんだ苦しい方が生きてるっぽい

選ぼうと選ばなくても人生はぜんぶ自分の責任になる

責任を負いたくないし何もかも決めたくないし選びたくない

徹夜してふらふらの朝味噌汁に普段食べない豚肉入れた

諦めることが忘れることよりも生存のための条件かも

友達も実家も遠いこの世界同じ空の下と言うわりには

間違えても失敗しても挽回をできるのが人生のいいところです

褒められて自信がついて間違えて落ち込んで私ピクミンみたい

よくやってるよくやってるよほんとうにそのままでもう十分だよ

今というときは今しかないって知ってても気付くのはいつも過去になってから

無理をして人から好かれなくてもさ自分の好きがあればじゅうぶん

たとえばさ好きだし嫌い幸せでも寂しいってこと全然あるよ

間違いを自分の落ち度としなければ救えた魂あったのかもね

私が今生きているならこれまでの選んだ道は全部正解

死にたいも死ねも殺すも滅びろも自分の魂守るおまもり

私はいま過去の未来に生きていて未来の過去を自由に変えれる

もしかして夢の中が本当でそんな夢想をすることもある

世の中の正しさからはズレたって別にそれが失敗ではない

なんかよくわからないけど大切なものをなくしてしまったような

縋ったりありがたがったり人は神を勝手に信じて勝手に飽きる

俺たちは飛べない鳥じゃなくってさ飛ばないだけだよ放っといてくれ

人生の全てをぶっ壊してでもやりたいことがほんとはあるでしょ

漠然とした満たされなさを抱きつつ生きるには人生長い

 

身の回りのこと

木を切って山を削って土運びみんなのためのゴミ捨て場作る

年始から生活道路はボコボコで異国の戦争遠くに思えて

生活が楽にならないイノベーション私ではなく人類のために

世界遺産世界遺産と言うけれど地球全部が宝じゃないのか

人間の環境破壊は自惚れでこれは環境の人間破壊

願っても天変地異は起きないし遠くの戦争終わりもしない

テンポよく波打ち際を走る子の姿はまるでポニョのようです

例年の24時間テレビ観てバカにしながら愛を信じる

日焼けしてシャワーを浴びてヒリヒリする感覚までも懐かしかった

殺伐としてる気分で歩いてた駅の花屋にめちゃ長い列

 

f:id:nov14b:20240818214405j:image