四十七日目

仕事終わりにドラッグストアで買い物をして帰ってきた夫が「最近ベビー用品コーナーをチェックするのが趣味なんだよね」と話していて、良いなあと思った。夜は久しぶりに魚を焼いて揚げ出し豆腐とサラダを作り、刺身を並べて、さらにお気に入りの焼き鳥屋さんで焼鳥をテイクアウトしてきて、居酒屋メニューで乾杯した。赤ちゃんいるとどうしても忙しないけど、品数が多いと食事が楽しい。

最近のこと

いろいろあって気がつけば生後四十六日目。赤子は四キロを超えていた。

 

子が生まれてから、夫とたびたび喧嘩をするようになった。喧嘩というか口論というかささいな衝突というか・・・。大体は育児の疲れによるもので、どちらかに原因があるものではない。互いに気遣いあっているのに、その気遣いが思いとは異なる形で相手に伝わったり気持ちがすれ違ったりすることが、衝突の原因になっている気がする。私は自分の考えや感情を言葉にするのが得意だ。そして相手にも言葉で表現することを求めてしまう。苛立ちを感じている理由を言葉で説明してほしい。感謝の気持ちや反省の気持ちを言葉で表してほしい。そんな態度が、時々夫を追い詰めてしまう。当たり前だけど、表現には言葉以外にも様々ある。言葉ではなく態度や行動で示す人もいれば、そもそも自分の考えや感情を表に出すことが苦手だったり、出したくない人もいる。「週末スノボしてきたら?」「育児ですごく疲れてるし、スキー場混んでるだろうから行けないよ」じゃないんだよ。めちゃくちゃ初歩的だけど、相手の気持ちを想像することが大切だと改めて思った最近。

 

離れて暮らす父と久しぶりに電話をした。父はまだ赤子に会ってないんだけど、わたしから送られてくる写真を見ていると、自然と顔がほころんでしまうんだと照れ笑いしていた。お前がお母さんになったなんてなあ。出産がんばったなあ。おじいちゃんって呼ばれるのは複雑な気持ちだなあ。育児大変だろう。頑張りすぎるなよ。赤ちゃんってこんなにかわいいんだなあ。俺がこんな気持ちになるなんてなあ。不思議だなあ。お前が生まれたときのこと思い出しちゃうよ。外の世界はこんな状況だけど、こんな嬉しい気持ちにしてくれてありがとう。いろいろ言っていたけど、父の言葉は全て本心だったと思う。わたしはどうしても過去の出来事のせいで父に対して素直になれないところがあって、父の優しさに触れるとどうしても自分のことが嫌になる。ふつうの関係に、ふつうの親子になれたらいいのに。そんなときにふとふつうの親子関係って何だろうと思った。同じ人間が誰一人としていないなかで、家族や親子関係に平均も普通もないだろう。どうしても負の感情を抱いてしまうことをネガティブに捉えたり、より良い関係をと思ったりしてしまうのだけど、別に「ふつうじゃない」なんてことはない。今のまま、仲良くしていきたい。

 

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THE PEANUT BUTTER FALCONを観た。映画の主人公はダウン症のある青年・ザックだ。映画の感想とは話が少し逸れるんだけど、山崎ナオコーラの『母ではなくて、親になる』を読んで、ダウン症は個性の一つなので(ダウン症以外にも疾患を抱えていることはあるし、ダウン症=パーソナリティではない。例えば小児がんがあったとしても、「小児がんの子」とは呼ばない)、「ダウン症の子」ではなく「ダウン症のある子」と表記することを知った。日本ダウン症協会のホームページ(

https://www.jdss.or.jp/family/)でも、「ダウン症のある人」と書かれている。一方、映画の公式HPや映画のレビューでは、ほとんどが「ダウン症の青年」、「ダウン症の俳優」となっていた。映画を紹介する上で障害について言及するなら、書く前に表記方法を調べても良いのではないのかなあと少し思った。検討した上で「ダウン症の青年」だったのかもしれないけれど。私はいちいち細かい。でも、細かいことを言う人も世の中には必要なのだ。と自分を正当化して、これからも気になった表現や言葉を受け流さないようにする。

生まれてはじめて

三十八日目。昨日は子が生まれてはじめてうんちが出なかった日。よく考えたら、彼女にとっては毎日が、生まれて初めてのことばっかりなんだろうなあ〜ということで↓

https://youtu.be/ZrX1XKtShSI

 

 

産後のお金の計算全くできない状況で育児アイテムをバカスカ買ってたんだけど、そろそろ勘定をしないとと思って電卓を叩いたら、なんとか予算内のギリギリセーフな感じになってました。今日はベビービョルンのバウンサーが届いた👶

ピクサー映画「INSIDE OUT(邦題/インサイド・ヘッド)」を観ました

赤子、生後三十七日目。

 

育児にも慣れてきて子が寝ているあいだの時間を有効活用したいと思えるほど余裕が出てきた。かといって今すぐ仕事があるわけでもなく、とりあえず映画でも観ようと、ずっと気になっていたピクサーの「INSIDE OUT」(邦題/インサイド・ヘッド)を観ました〜〜〜。

 

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※生まれたばかりのライリー、可愛すぎ。

 

ちなみに昨年末、話題になっていたディズニープラス独占配信のオリジナル映画「ソウルフル・ワールド」を観たいがためにファイアースティックを買ったんだけど、噂に聞いていたとおりディズニープラスのサービスがクソだったので即解約。「育児でずっと家に引き篭り生活だし、ぜったい活躍するから!」と夫を説得して家計でファイアースティックを購入したので何となく後ろめたかったのだけど、今はプライムビデオのレンタルで重宝している。良かった。

 

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あらすじは省略。初っ端の主人公・ライリーの幼少時代から、カナシミ(sadness)を良く思っておらず、辛いことや悲しいことに直面したときに、落ち込むことや悲しむことをネガティブなこととし、とにかくポジティブに幸せだったときを思い出して現実逃避したり明るく振る舞ったりしようとする(させる)ヨロコビ(joy)の存在が超しんどい。

 

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泣きたいときに泣けず、辛い思いをしても表情にも言葉にも出せず。両親を大切に思うばかり常におどけたり明るく振る舞ったりして家族を楽しませようとするライリーの姿を見ながら胸が苦しくなる。

 

思い出したのは両親が離婚したときのこと。一緒に暮らすことになった母や妹の前では、心配させたり家のなかが暗くなったりするのが嫌で、めそめそすることも悲しむこともできなかった。母にも父にも離婚して欲しくないと言えなかった。離婚の原因(と当時の私は思っていた)となった父に対して怒ることも嫌いになることもできず、「私はこんなことになってもあなたを憎んでいない」と言ってしまった。しかるべきタイミングでちゃんと悲しんだり怒ったりしないで感情を抑圧すると、負の感情はどんどん蓄積して、ずっと引きずることになるんだよ、、と心のなかでライリーに話しかけた。

 

 

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物語の後半、落ち込むビンボンに対して「落ち込まないで」「元気出して」「なんとかなる」と、悲しみの原因に目を向けずにとにかく前を向こうと励ますヨロコビ。

 

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↑ポジティブおばけ(うざい)

 

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一方、カナシミはビンボンの悲しみの原因に向き合い、感情を吐き出させることで、立ち直るきっかけを与える。

 

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話は飛んでクライマックス。ライリーは自分が抱えている寂しさや悲しみを両親に打ち明ける。自分の感情をちゃんと認めて、向き合うことができて本当に良かった(涙)。

 

喜びも、悲しみも怒りも恐れも嫌悪も、どれも大切な感情。どれかを無視したりなかったことにすることはできない。抑圧すると、そこ(現状)から逃げるしかなくなるんだよ(ライリーは終盤、家出をする決心をする)。

 

 

 

もう一つ、この映画の良いな〜と思ったのが、楽しかったことも悲しかったことも、全てが人格を形成する上で大切な思い出だと伝えていたこと。苦しかったことも悲しかったことも抱えて生きていくしかない。楽しいことだけで人生を充実させるのは無理なのだ。なかなか辛かったことを「経験できて良かった」と思うことは難しいけれど、たしかに今の私があるのは過去の自分があったからだな、そんなことを思いました。(ソウルフル・ワールドより好きだった)

三十六日目

授乳をしながら、娘のまつ毛が長くなり、増えていることに気づいた。夫に「まつげが増えた!」と言ったら、そうだよね〜と返された。夫もわたしも子のささやかな成長に一緒に気がつけて嬉しい。

三十?日目

「生後○日目」、数えるのが面倒くさくなってやめた。

 

ここ最近のことをまとめて。娘は新生児期が終わり、私は子宮も元通りになり「妊娠前の生活に戻って良いですよ」と言われたので、もはや産後ではなくなった。徐々に自分のリズムも取り戻そう!ということで、とりあえずマタニティデニムを履くのを辞めました(お腹周りが楽だった・・・)。それから仕事を再開したいと思い、とはいえフリーランスなので仕事をしようと思って通う職場もすぐに取り掛かるお仕事もなく。これまでお付き合いがあった人に復帰の旨の連絡をした。今朝(2月7日)は「お散歩に出かけてみようか」ということで、寝起きの顔も洗わないまま身支度をして、娘を抱えて目の前の公園を軽く歩いた。夫に娘を抱っこしてもらったんだけど(わたしは撮影係に徹したかった)、夫が「俺が抱っこしていいの?」って嬉しそうにしていて愛おしかった。赤子は直接おっぱいを吸うのが苦手で(赤子の口のサイズと私のおっぱいの大きさがミスマッチ)、一方の私は練習的なことが嫌いなので、上手くいかないことを何度もやりたくなくて(ふつうに、乳を上手に咥えられずに泣き叫ぶ娘を見ると心折れる)、退院して1ヶ月間は搾乳した乳を哺乳瓶であげることがほとんどだった。でも搾乳時間が無駄だし、哺乳瓶を洗うたびに荒れていく自分の手を目にするのも虚しくなるし、重い腰をあげて直接母乳をここ数日練習したら、お互いにコツを掴んで上手く授乳ができるようになってきた。飲んでいる量を確認できないのは少し不安だけど、ここは子を信じてしばらく頑張ってみようと思う。

 

今日は先週に続いて夫によるワンオペ育児の日。昼から総湯に行って全身の疲れを癒し、今はスタバでブログ書いてる。ゆっくり考えて言葉を選んで文章を書くのは楽しいし、こういうことができる時間を作ってくれる夫に毎回感謝している。

育児から締め出される男たち

子、ここ数日鼻呼吸が少し苦しそうだったので夫に鼻吸い器を買ってきてもらった。まだ電動のものは必要なさそうだったから、ドラッグストアで取り扱いがあったピジョンの「鼻吸い器 お鼻すっきり」を選んできてくれた夫。沐浴後の鼻水が柔らかくなっている(?)タイミングで上手に鼻を吸い、鼻水を除いて、子も気持ちが良さそうにうっとりしていた。

Amazon | ピジョン 鼻吸い器 お鼻すっきり 10309 | 鼻吸い器 | ベビー&マタニティ 通販

ところでびっくりしたのが、この裏面の説明書き。

ママのお口で吸引力を調整しながら吸ってあげる鼻吸い器です

 

逆流防止パーツが付いているので、ママの口に鼻水が入る心配がありません。

 

念のため付け加えておくと、この商品、別にママ(女性)が吸いやすいように工夫が施されているわけではない。別にパパが使ったって良い商品なのだ。現に我が家では夫が買い、夫が使っている。なんで使用者を女性に限定するんだろう。

 

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生後三十日目を迎えた2月2日のこと。朝、布団でだらだらしていたら夫が鼻をぐすぐすさせて、涙を流して「泣ける・・・」といってこの画面を見せてきた。無事、一ヶ月を迎えた安堵と喜びで感動したらしい。私が妊娠してまもなく二人でダウンロードした、妊娠・出産を記録するアプリ・トツキトオカ。このアプリを毎日開いて「今日のお手紙」や、週一回の「この頃のママの様子」、「パパへのアドバイス」を読みながら出産や育児への期待を高めてきたのだけど、その夫が感動したというメッセージを読んで私は落胆してしまった。「ママにとっては、ママになって1ケ月の記念日です」。これまでパパに向けた内容もあったのに、なんで最後の最後で「ママ」だけに限定されているんだろう。夫は育児をとても頑張っている。なんだか悔しくなって、その日の晩に夫に宛てて「パパになって1ヶ月の記念日」を祝う手紙を書きながら泣いた。

 

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わたしは別に、妊娠・出産を記録する「母子手帳」にパパを入れろ!とは思わないけど(母と子の健康を管理するものなので)、育児に関しては、企業が性別を問わず参加する(できる)ようなメッセージを発信したら良いのにと思う。

 

 

例えば、我が家も購入したアップリカの抱っこ紐「コアラ ウルトラメッシュ」の紹介文。

そんな毎日に欠かせないアイテムだからこそ、赤ちゃんもママも快適が一番。

ママの疲れにくさはもちろん、赤ちゃんも心地よく過ごせるアップリカの抱っこひも。

抱っこひも | ベビーカー・チャイルドシートのアップリカ | Aprica

 

私たち夫婦は出産前にベビーザらスへ買い物に行き、夫がこの抱っこ紐を試着して、夫が気に入ったので、これを買った。ちなみに私はお腹が出ていたので試着していない。使用者を「ママ」前提にしているのは、どうしてだろう。

 

HPを見たら、コンビもこんな調子だった。

ママと赤ちゃんの絆を結ぶ抱っこひも。
いつも快適なだっこができるように、コンビの抱っこひもは
ママと赤ちゃんへのやさしさにこだわりました。

【コンビ】抱っこひも(子守帯)の種類・機能・違い|ベビーカー・チャイルドシートのコンビ株式会社

 

 

 

ちなみに外資のエルゴベビーやベビービョルンは「ママのために」的なことは謳っていないし、HPの各ページに、自然に男性が出てきます。

 

エルゴベビー「OMNI 360(オムニ スリーシックスティ)」の紹介文↓

快適がつづく オールインワン エルゴベビー
成長に合わせて形を変え、前向き抱きにも対応するエルゴノミックシート採用
新生児から3歳頃までどの月齢でも、赤ちゃんもパパ・ママも快適がつづく、プレミアムモデル

ベビーキャリア:Products 製品詳細 | Ergobaby - エルゴベビー公式サイト | ベビーキャリア・抱っこひも

 

 

ベビービョルンのページ↓

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babybjorn.jp

 

韓国のコニーもね。(我が家では夫と私、それぞれのサイズに合ったものを購入)

NEW コニー抱っこ紐 / Black ブラックjp.konnybaby.com

 

 

 

日本で育児をしていると、まじでこんなのばっかりで心底うんざりする。

図書館で育児本を借りてもそう。母親が読むことを前提とした内容が並んでいる。前述のように育児アイテムだってそうだ。日本では、社会が育児から男性を無言で締め出しているように感じる。私の夫のような育児に一生懸命な人が蔑ろにされているような気がして、とても気分が悪い。

 

ちなみに妊娠中、興味があって外出先で夫が男子トイレを利用した際は、オムツ替えスペースがあったかどうかを確認していた。無論、女子トイレにはオムツ替えスペースがあるものの男子トイレにはない、という商業施設ばかりだった。男性が子連れで一人で外出することは想定されていないのだろうか?

 

 

 

我が家のように夫婦で育児を協働している家庭もあれば、事情があってお父さんだけで育児をしていたり、男性カップルで子育てをしている家庭もあると思う。育児というのは女性に限定されたものではなく、育児に携わる人全てに等しく開かれたものであってほしい。本当に。

 

追記/貝印が「ムダ毛を剃るか剃らないかは自分次第」という広告を出したのは2020年だった。こういうメッセージが、育児業界でも出されればいいと思う。

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「ムダかどうかは、自分で決める。」貝印の広告がSNSで話題、剃毛や脱毛の多様性を表現