16日、初の憲法判断


民法には明治時代から夫婦別姓を認めず、同じ名字にするという規定と、子どもの父親が誰なのか争いになるのを防ぐため、女性にだけ離婚後6か月間再婚を禁止するという規定があります。
規定の見直しを求める人たちはそれぞれ裁判を起こし、「男女平等などを保障した憲法に違反する」などと主張したのに対して、国側は「規定には合理性があり、憲法に違反しない」などと反論しています。
2つの規定について、国の法制審議会は平成8年に夫婦が同じ名字にするか別々の名字にするか選べるようにする「選択的夫婦別姓」の導入や、再婚禁止の期間を100日に短縮することを盛り込んだ民法の改正案を答申しましたが、反対の意見もあったことなどから、改正は行われていません。
「夫婦同姓」規定は合憲か違憲か 最高裁、初の判断へ:朝日新聞デジタル
 今年11月に開かれた弁論で原告側は、結婚によって自分の姓を変更するよう強いられるのは人格権を侵害しており、憲法13条が保障する「個人の尊重」に反すると主張。現実には約96%の夫婦が夫の姓に合わせていることから、実質的に女性に不利益を強いる性差別だとして、憲法14条の「法の下の平等」や、24条の「結婚の自由」に反している、とも訴えた。
 法相の諮問機関「法制審議会」は1996年の答申で、「同姓」に加えて結婚前の姓を使い続ける「別姓」も選べるようにする「選択的夫婦別姓」を盛り込んだ。また、国連女性差別撤廃委員会も85年に日本が批准した「女性差別撤廃条約」に基づいて、法改正するよう勧告している。原告側はこうした状況から、国には必要な対策を長年怠ってきたため賠償責任がある、と主張している。
 日本大学法学部の百地章教授(憲法学)の話「夫婦別姓を選択すれば、親子別姓にもなる。夫婦の事情のみで、自分自身に決定権のない子供の姓を決めることがいいのか。親子の一体感の希薄化や子供の不安感などが生じ、成育に支障を来すことも考えられる。別姓が2代、3代と続けば、自分自身の家系をたどることが困難になることが想定され、祖先を敬うという日本人の道徳観に悪影響を与える可能性も出てくる。また、一部の世論調査では賛成・反対が拮抗しているとされるが、賛成の多くは『自分は同姓を選ぶがしたい人は別姓にすればよい』という消極的な考え方だ。通称使用も広く認められており、本当に別姓を望んでいる人は少数派。どんな影響が生じるか分からない中、少数の意見を尊重し国の制度を変えることが正しいことなのか。推進派にはこの視点が欠けている」
 民主党政権時代の法相として、選択的夫婦別姓を実現する法改正を行おうとした弁護士の千葉景子さん(67)に、夫婦別姓の必要性について聞いた。
 私は元の姓のまま結婚したい人たちに、選択肢を提供する「選択的夫婦別姓」を導入すべきだと考えている。全員に無理やり別姓での結婚を強制するものではない。家族においても、一人一人の個人が尊重されなければならないという考えが基本にある。
 「家族の一体感が壊れる」と選択的夫婦別姓に反対する人たちがいる。しかし、その根拠を聞いたことはない。姓が同じでも崩壊する家族はある。
 反対する人たちは「家族の形、日本の社会の形はこうだ」というイメージを持ち、「みんな同じが良い社会だ」と思っている。でも、私は互いの違いを認め合える社会こそ、目指すべき社会だと思う。
日本経済新聞
 自分たちの暮らし方や仕事の経験を踏まえ、家族の形は多様でいいはずだと考える。「信頼、尊重しあう関係を続けていけるのが家族。姓が同じかどうか、一緒に住んでいるかどうかではない」


姓が同じでないと保てないような家族なんて、そもそも家族ではない。「夫婦は同姓であるべき」という自分のこだわりを他人に押し付けるのは絶対に間違ってる。