つわりのこと

昨晩、久しぶりに「おおかみこどもの雨と雪」が観たくなってAmazon Prime Videoでレンタル。独身の頃に観たときは、この映画を通して知る親の思いや「母の愛」の偉大さに号泣したんだけど、親になってから改めて観てみると、あまりに共感する部分が多くて別の意味で泣けちゃった。仕事を終えて帰ってきた夫にも勧めて一緒に観ていたら、夫、花(主人公)のつわりのシーンで涙を流していた。私もつられて泣いた。私の妊娠中、というか私たちの妊娠期間中も色々あったよね。

 

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花の妊娠を二人で喜ぶシーンはもちろん泣ける。

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花のつわりのシーン、リアルで泣ける。f:id:nov14b:20210127150539j:image

つわり、決して私ひとりで乗り切ったものではなく、夫が支えてくれたから乗り越えられた。

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出産シーン、美しすぎて泣いた。赤子がちゃんと赤子。

 

私のつわりは妊娠初期から始まって、いつからを中期と呼ぶのか忘れたけど、安定期に入るまで続いた。最初は一日中身体がだるくて起きられなかった。つわりは英語で「Morning Sickness」というらしいのだが、この言葉のとおり特に朝がつらかった。目が覚めてからも、横になったまま水分を摂らないと起きられない。でも最初のうちはお茶や水も飲むことができず、毎朝目が覚めると夫に声をかけ買い溜めしていた100%フルーツジュースや野菜ジュースをベッドまで持ってきてもらい、横になったまま飲んでしばらく身体が動くのを待つ、という日々が続いた。噂に聞いていたとおり炊き立てのごはんの匂いがダメになった。これまで苦手だった梅干しを感動するほど美味しく感じた(数ヶ月後に干し梅を食べて吐いて以来は梅干しもダメになった)。それから和食的な匂い、たとえば醤油、みりん、酒等で味付けしたものの香りが耐えられなかった。夫は私に気を遣って、炊飯器を自室に移動して米を炊いてくれたこともあった。それから、理由はわからないけどパッと頭に浮かんだものしか食べられない日も多々あった。「今日は何も食べる気がしないけど、モスバーガーなら食べられる気がする」といえば夫は一番近くのモスバーガーまで車を走らせ、「お腹が空いた。今すぐほっともっとの、のり弁が食べたい」といえばぐったりしている私を助手席に乗せて弁当を買いに行ってくれた(帰りの助手席でのり弁を食べる私)。犬の散歩もできたりできなかったり。体調が良さそうでも散歩中に具合が悪くなるのが怖かった。義理のお母さんが犬を迎えにきて散歩に連れて行ってくれた。犬は、一日中パジャマ姿でテレビの前に横たわる私のそばにいてくれた。夏は酷かった。ただでさえつわりが辛いのに、それに加えて暑さにやられた。夜には妊娠性痒疹(にんしんせいそうよう)で手足が異常に痒くなり眠れない(私は肌が弱くて蚊に刺されただけで皮膚科を受診するレベルなんだけど、アブ・ブヨによる虫刺されも比じゃないくらい痒かった。毎晩手足に保冷剤をくくりつけて寝る日々が続いていた)。たびたび酷い頭痛が襲うものの、薬を飲めなくてひたすら唸っている夜もあった。オンラインで3日間開催されたフジロックフェスティバルは夫婦で楽しみにしていたのに、ちょうどつわりが酷いタイミングで、初日は宅配ピザを買ってきたものの一口食べてはトイレに駆け込み吐く→食卓に戻り一口食べては・・・の繰り返し。最も楽しみにしていた二日目は寿司(気持ちだけはフェスムード)をとったんだけど、前日同様吐きながら食べ途中で頭痛も重なってダウンし「SELECTED INTERNATIONAL PERFORMANCES」以降爆睡、よってケミカルもベックも観られず、散々な三日間だった。わりと重めのつわりが原因で突然日常生活をまともに送れなくなり、成人として(?)機能しなくなった私。誰かと会う約束をしたくても「今日は元気でも、明日の体調がどうなるか分からない」不安から人と会うのも億劫になってしまった。一日中家にいるものだから暇なんだけど、体調が悪いから頭が動かない。この期間、一番お世話になったチャンネルは紛れもなくNHK BSプレミアムだった(教養を広げてくれる良い番組がたくさんあった)。私がつわりで体調を崩し&体重も激減していると聞いて、離れて暮らす父が「お中元」と称して初めて食品(地元の老舗精肉店の加工食品セット)を送ってくれたときは驚いた。そんなことを思い出していたら、夫はもちろん、夫の両親、私の両親への感謝の気持ちが溢れてきて、やっぱり「おおかみこどもの雨と雪」のつわりの描写は涙無くして観られなかった。