日記

去年の暮れに買った『中野正彦の昭和九十二年』をようやく読み終わった。手元には年末に買ったまま手をつけていない本が何冊かあり、続いて牟田都子さんの『文にあたる』を読み始める。どこから読んでも良さそうだったので、終盤からページをめくってみた。243ページに「個人で担当した本に名前を載せたいといわれたときは即答できませんでした。会社では名前が出ることはありません。載せれば責任が生まれます。何か見落として名指しされることは怖かった。一方で、怖さを引き受けることも仕事の一環ではないかとも思いました」と書かれていた。『中野正彦の昭和九十二年』の発行元だったイースト・プレスが1月17日にまたお知らせを更新していた。「本書は、2022年12月16日に回収を決定し、12月18日に概要を自社HPにて掲載いたしましたが、それぞれの対応決定につきましては、弊社判断で行い、樋口氏に事前に報告や確認をしておりませんでした」とある。この本に関する「お詫びと訂正」は今回のもので3回目で、こんなの、事前に著者へ「報告や確認」をして、せめて対外的にどのように発表するのかも社内(外)で方針を固めてから回収したらよかったのにと思う。作者に対して超超超超超不誠実。回収の理由を推測してブログで書いていた人もいたけれど、著者が本の内容を理由に訴えられたとしても出版社が後ろ盾になって闘うくらいの気持ちで出版するものじゃないのか、とも思ったりした。牟田さんの言葉を借りれば「怖さを引き受けることも仕事の一環」で、怖さがあってもなお出版したい(本を世の中に出したい)という思いがあって著者は書いていると思うのだけど、出版社はその怖さを引き受けることはしないのか。法的な問題なのか何だか知らんけど法に触れたから何?とも思う。ちゃんとした感想はまた別の日にまとめたいけどとりあえず。