日記

生クリーム386円、クリームチーズ494円、バター(食塩不使用)386円、レモン果汁が195円。上白糖と薄力粉は家にあるものを使うからゼロ円として、材料費計1,461円。オーブンレンジの電気代は面倒なので勘定に入れないとする。出来上がったベイクドチーズケーキ(直径18cm)を6等分すると、一切れあたり243円の計算。実は「もしかして切らしていたかもしれない」と不安になって上白糖と薄力粉も買ったから会計は1800円くらいだったけど、そうなると一切れあたり300円になってシャトレーゼ不二家で買うのと変わらない値段になってしまう。そんなことを考えながらお菓子づくりはできない。そもそも「買うより安く済ます」ためにお菓子を作るわけではない。暇つぶしにケーキでも作ろうと思い立ち、小雨が降るなか近所のスーパーまで歩いていく。道すがら公園で雨に濡れる木々の様子を観察する。スーパーでクリームチーズを探すとフィラデルフィアがなくて雪印のものしかないことに気が付く。ついでに夕飯の買い物を済ます。家に帰ってきて娘を誘うと「パパととしょかんいってくる」というので一人で作り始める。ベイクドチーズケーキを作るのは簡単だ。材料を順番に加えて混ぜて、オーブンを余熱して、180度で40分間焼く、ただそれだけ。焼成のあいだ犬と昼寝をして、焼き上がりを告げるアラーム音で目を覚す。ベイクドチーズケーキはしっかり冷やすと美味しいから、まずは粗熱を逃すあいだ犬の散歩に出かける。家に帰ってきて、少し冷めたケーキを冷蔵庫に入れる。それから夕食後まで冷やしておく。ここまでがお菓子作りで、それはいくらかかったかどうかという話ではない。食後にみんなで食べたチーズケーキはおいしかった。夫がチーズケーキを味わいながら「うん、おいしい」と言葉を漏らした。それは人気のパティスリーの高級ケーキを食べたときの「おいしい」とはまた別の「おいしい」だった思う。「でも、それと同じ赤とグレーの縞模様の靴下が、祖母が私のために編んでくれた贈り物だったとしたらどうだろう?何もかもが変わってくる。贈り物は、それからずっと続く関係を生む。私はお礼の手紙を書くだろう。靴下を大切にするだろうし、もし私が気遣いのできる孫ならば、祖母がやって来るときには、たとえその靴下が気に入っていなくてもその靴下を履くだろう。そして祖母の誕生日にはもちろんお返しの贈り物をする。学者であり作家であるルイス・ハイドはこう言っているー「贈り物と商品の基本的な違いは、贈り物は二者の間に気持ちのつながりを作る、ということだ」」(「植物と叡智の守り人」)商品ではなく贈り物としてのケーキ。娘はチーズケーキを少し食べたあと、昨日買ってきたドーナツが残っているのを思い出してそちらを食べていた。少し酸味が強かったから、今度は既製品のレモンシロップではなくフレッシュレモンを使いたい。

 

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