日記

仕事ではない予定を自分で作って遠方まで出かけるのは久しぶりで、未だ無意識のうちに「不要不急」の四文字に気持ちが縛られていたことに、県境を超えてようやく気付いた。加えて、もちろん夫も誰も、私に対して何も言わないのだが、どうも仕事でも何でもないのに平日の真昼間に遠方にひとりでお出かけみたいな気分にこれまでなれなかったのは、何に対する遠慮だったのだろうか。zineを作ろうと思って、話を聞いてみたい人、声を掛けてみたい人をひとり考える(というよりも夢想するに近い)なかで、これまでいかに自分が社名や媒体名に守られていたか、いや社名や媒体名を頼っていたかが分かった。「私」として声をかけて「私」の企画に協力してもらうようお願いするというのはめちゃくちゃ勇気がいることで、逆にこれまで(新聞や雑誌時代に)簡単に依頼をしていたのはあまりにも偉そうだったというかなんというか。そんなことを考えながら、国道8号線沿いの気になる店を脇見しながら伏木古国府。伏木古国府ってこれまで読み方が分からなくて知らないままにしていたんだけど「ふしきふるこくふ」と読むようで、なんだか長いし掴みどころがない。古本なるやの堀田さんにどうしても会いたくて、zineを作るなら堀田さんの話が聞きたい(書きたい)と思ってアポイントを取ったものの、自分の悩み相談をして大満足して帰ってきてしまった。勝手な願いだけど、古本なるやが、堀田さんがもっと世の中に知られてほしいし、堀田さんの言葉がもっと多くの人に届いてほしい。「何かを書きたいけれど何を書きたいのかがわからない」という話になったけど、結局のところ私は、自分のような生き方もあって良いのだと、あなたのような生き方もあって良いのだと、社会の普通なんて全然普通じゃないのだと、平凡そうに見える家族にだって色々あるのだと、そういうことが書きたいのかもしれない。私たちは好きなときに好きなところへ行って、好きなことをしてもいい。用事がなくても連絡していいし、仕事してなくても休んでいい。無理して強くある必要もないし甘えたいときは甘えたらいい。