日記

他愛もないこと。家を眺めるのが好き。家の佇まいからそこに住む人の暮らしを想像するのが好き。家に対する漠然とした憧れがあって、それは高校生の頃に突然「実家」を失ったからだと自分で分析?しているのだけど、かといって住宅ローン組んで理想の家を建てるほどのモチベーションもこだわりもない。人生初の引っ越しが両親の離婚による慌ただしいものだったから(父は母に対し「離婚しよう、俺はこの家を売るし、犬も飼えない。子どもたちと犬二匹を連れて家を出て行ってほしい」と言った)、そのとき利用したサカイ引越センターのパンダのキャラクターを見かけるたびに少し気分が落ち込む。知人が長く暮らし親しんだ家とのお別れ会をした、という話をインスタグラムに書いていて、じゃあ私も家との別れを惜しむ時間があれば後悔というか、もっと清々しい気持ちであの家と別れることができただろうかと想像してみたけれど、たぶんお別れの時間があったらもっとつらいだけだった。ピアノがあって、私と妹は二段ベッドで寝て、犬は私たちがお父さんと手作りした犬小屋で寝て、庭で遊んで、広い和室と縁側があって、いい家だった。子ども部屋には木目調の壁紙が貼られていて、出窓があり、そこから外を眺めるのが好きだった。玄関横の花壇にはアジサイが植えられていて、夏は犬が葉の下で暑さを逃れていた。家に住みたい。スキーが大好きな夫は山のそばがいいと言うけど、私は海のそばで生まれ育ったから海の近くがいい。この時点で折り合いがつかないのだが、今日もふたりでなんとなく話していたのだけど、どうしてもこれがしたいみたいな思い入れとかが私たちにはないよねって話になって終わった。かつて住んでいた家は新興住宅街にあり、車通りも少なくて近くにはただ雑草が自由に伸びているだけの空き地もあって、母曰く子育てしやすく、また当時子どもだった私にとっても住みやすい環境だった。私のお父さんとお母さんは、どんな気持ちであの場所に土地を買い、家を建てたのだろう。