プール

東京に住む妹に娘がプールで遊ぶ写真を送ったら「プールちっちゃ!笑」と言ってすぐに150✖️150サイズの新しいプールを送ってくれた。私たちが暮らしているのはマンションだから、幸いベランダにはプールを置くスペースがあるけれど、水を入れる方法がバケツリレーしかない。(調べてみたところマンション住まいの人向けの万能ホースがあるようだが、プールだけのために買うほどでもないと判断した。)いつか犬の水遊び用に買ったバケツを使って台所とベランダを行き来して水を貯めること20往復以上。私の脳に「途中でやめる」というコマンドはないので、始めたら終わらせるまで止まることはできない。夫は半分程度まで到達した水位を見て「もうこれくらいでいいんじゃない」と言っていたが、結局私はプールを満杯にした。台所でバケツいっぱい水を入れ、こぼさないように腕にぐっと力を込めてベランダまで運ぶ。プールに水を放つたびにザッバーンザバーンと気持ちの良い音が聞こえる。プールって、大量の水を必要とするのだ。ひとりバケツリレーをしながら水不足の国ではプールなんてできないだろうなとか、このサイズでこれだけの水を必要とするのだから学校のプールや公営、民間プール(しかも毎日入れ替えしている)の水の消費量って半端ないなとか考えたりした。自然の摂理に逆らうことをしようとしたら、コストがかかる。プールにはたくさんの水が入っているという当たり前のようで実感としては分からなかったことを知り、アーティストであるオラファー・エリアソンがヨーロッパ(うろ覚え)の街なかに北極の氷河を設置するインスタレーションを実施したところ観客が「もともと氷は冷たいと知っている」にもかかわらず、氷河に触れて「冷たい」と喜んだというエピソードや、遠い国へ旅をするには空路よりも陸路の方が実感としてその遠さや距離を知ることができるというさまざまな本に書かれているようなことを思い出した。いつも話が壮大になりがち。でも実感として知るって大事だよね。このあいだ初めて新幹線で富山へ行ったんだけど、いつもは車で1時間半ほどかかるところ、金沢駅を出発してはや18分ほどで富山に着いて、私、自分が富山にいる気がしなかった。

 

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