NHKスペシャル「混迷の世紀」第7回「灼(しゃく)熱地球の恐怖 〜ウクライナ侵攻 もう一つの危機〜」一部文字起こし

昨日、夫と「君たちはどう生きるか」を観てきた。夫は初めて、私は二回目で、観終わったあと夫に感想を聞いてみたところ地球温暖化を考えずにはいられなかったと話していたのが印象的だった。終盤、大叔父様が「よかった、これで世界はあと一日持つ」(的な)ことを言ったシーンがあるのだが、私は「一日、一日は独立しており明日があるのは決して当たり前のことではない(毎日が奇跡の連続である)」とポジティブな意味で捉えたのに対し、夫は「世界はもう終わりだ」というメッセージを受け取ったと言っており(意訳)、当たり前だけど観る人にとって感じ方が違って面白い。今年の夏の暑さは特に厳しく、連日のように世界の異常気象が報道されている。国連のグテーレス事務総長の「地球沸騰化の時代が来た」という発言が話題になっているが、少し前に観たNHKスペシャル「混迷の世紀」第7回「灼(しゃく)熱地球の恐怖 〜ウクライナ侵攻 もう一つの危機〜」を思い出し、これがとても良かったというか考えさせられたので一部、備忘録として文字に起こしておく。

「気候変動はもはや環境問題にとどまりません。経済、安全保障、移民、平和に影響しています。その前提で議論を行うべきです。そうしなければ政治は耳を傾けず経済も真剣に受け止めません。世界は地球を抜きにして存続することはできないのです」(ポツダム気候影響研究所・ヨハンロックストローム所長)ブレマー氏(国際政治学者・イアンブレマー)は先進国と途上国との分断こそ温暖化対策にとっての大きな障壁だと指摘します。「途上国の多くは、もう何十年も先進国の対応に怒りを募らせています」温暖化対策に国際社会が乗り出した1990年代から、分断は変わらぬ課題でした。途上国は先進国が引き起こした温暖化によって多くの犠牲が出ていると主張。しかし先進国は十分には応じてきませんでした。去年開かれたCOP27でも両者は激しく対立。排出量の削減について大きな前進はありませんでした。「地球が燃え尽きようとしているが私たちに(温暖化の)責任はない。パキスタンの排出量は世界の1%にも満たない」(パキスタンレーマン気候変動相)一方で今回の軍事侵攻で欧米を中心とする先進国はウクライナに兵器を供与するなど手厚い支援を行いました。支援に差をつける先進国の姿勢に途上国は改めて不信感を抱いたのだとブレマー氏は言います。「COP27では先進国と途上国の溝が明らかになりました。ウクライナ侵攻はこの分断にどう影響していのでしょうか」(NHK解説委員長・河野憲治)「去年はウクライナ危機が欧米にとって最優先事項でした。もしあなたが途上国の国民で気候変動や国際紛争について支援を求めたとしても欧米からウクライナと同じレベルの支援は全く得られないでしょう。『なぜ自分たちは軽視されているのか』途上国の人々は知りたがっています。たとえばパキスタンは国土の3分の1が浸水しました。なぜ先進国はそうした国よりもウクライナを気にかけるのでしょうか。明確な答えはありません。しかしそれは欧米と途上国の分断をより大きくしています」「先進国のリーダーは途上国の人々を対等には扱っていません。同じ世界秩序の中でともに生きているという感覚が乏しいのです。技術や資金の提供だけでなく途上国の問題に関わろうとする意欲、そして共感を持って人々の話をじっくり聞くべきなのです。なぜ一緒に行動できないのか途上国の訴えに耳を傾けなければなりません」