日記

犬が熱中症になった。日中仕事のため義実家に預けることが多いのだが、おとといの夕方迎えにいって家に帰ってくると、なんだか様子がおかしく呼吸が苦しそう。急いで夜間救急を探すもタイミングが悪く休院だったり電話がつながらなかったりで結局家で付ききりで一晩を過ごした。昨日、早々とかかりつけの病院へ連れていくと、熱中症とのこと。外が暑ければ無理をして散歩に連れて行くことはないと言われたものの、うちの犬はビーグルである。夕方、なるべくアスファルトではなく草むらを歩けるように少し離れた公園へ連れていったけれど、まだまだ地表は熱く、抱き上げた犬の肉球を触ってみるとじっとりと湿っていた(犬は汗をかかず、肉球で体温調整をする)。大学生の頃、横浜美術館が好きだった。それはいつも日本新聞博物館と合わせて行っていたからかもしれないし、建物自体が好きだったのかもしれないし、もしかしたら横浜自体が好きだったのかもしれない。とにかく好きでたびたび一人で訪れていた。ヨコハマトリエンナーレは首都圏住まいを離れてからも必ず訪れていて、だから本当は2020年に開催された「ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」もすごく行きたかった。これまた私の大好きなアイスランドのミュージシャン・Asgeirのアルバムに「Afterglow」というものがあり、2020年のテーマを知ったときに、これは行くしかないと息込んだのだ。しかし時は2020年、会期は緊急事態宣言が終わった(うろ覚え)ばかりの7月から、当時妊娠4、5ヶ月だった私は当然のように家族から東京行きを止められた。「万が一のことがあったら絶対に後悔するから」。どうにかして家族を説得しようものにもなかなか思いが伝わらず、結局、ヨコハマトリエンナーレは諦めた。なし崩し的に、その年に公開されどうしても映画館で観たかった映画も諦めた。そういう雰囲気ってあると思う。だんだんそういう雰囲気に慣れていってしまうこと。違和感があったり本当は嫌だったりするけれど仕方ないと受け入れてしまうこと。例えば昨年、与那国島弾道ミサイル飛来を想定した初の住民避難訓練が行われたというニュースを見たときには「???」って感じだったのが、今年になり陸上自衛隊がミサイル配備の方針が公表されたとき、そういう流れだから仕方ないとか、むしろ必要なのかもしれないとか思ってしまった自分に驚いた。「そういう雰囲気」のなかにいて、そういう雰囲気に慣れたり流されたりしそうになっている自分。現在工事のため休館中の横浜美術館は来春リニューアルオープンをし、第8回「ヨコハマトリエンナーレ 野草:いま、ここで生きてる(Wild Grass: Our Lives)」の開催を予定している。私はいまも少しだけ、2020年のトリエンナーレに行かなかったことを後悔している。