日記

娘が通っている保育園では、8時50分までに登園するよう厳しく言われている。この登園時間、園によって考え方が異なるようで、以前ほかの園に子どもを預けている人に聞いたところ「うちは(利用者の)民度が低い保育園だから9時半に登園しても何も言われないンすよ」と笑っていた。だいたいどこの園もクラスの全員が揃ってお散歩したり遊びをしたりし始めるのが9時で、9時ぴったりにクラス全体として活動を始めるためには8時50分には登園しておいてほしい、ということなのだろう。しかし、当然ながら毎朝すっきり目覚めてテキパキと支度をし登園できる子もいれば、朝が弱く、朝食をとったり支度をしたりするのが苦手な子もいる。うちの子どもは後者だ。どれだけ早く寝ても、そしてどれだけ早く起きても、どうしても登園時間ギリギリになってしまう。自営業である私や夫のライフスタイルも関係しているのかもしれないが、いちおう私たちは8時50分までの登園を目指して努力している。それでも、間に合わない日だってある。もう一度言う。努力していないわけではないのだ。だけど、たとえば娘のペースを無視して泣かせてまで無理やり8時50分までに園に連れて行くつもりもない。保育園では毎夏、天気が良い日の午前中は園庭で水遊びを行なってくれる。「9時から一斉に水遊びを開始」するためにそれまでにお着替えを済ませる必要があるとのこと、夏の間は特に8時50分までの登園をと注意された(もちろん8時50分よりも前に登園できる日もある)。時は移り、水遊びは終わり、今度はお散歩の季節になった。最近は(お昼寝しない日もあり)早寝・早起き・8時50分前後の登園ができていたのだが、先日、保育園に到着するのが9時手前になってしまった日があり、送りを担当している夫が不満げな表情をして家に帰ってきた。「9時になっていないのに、あんなに失格みたいな感じで扱わなくても」。夫の気持ちはわかる。たかが10分である。でも先生の気持ちもわかる。お昼ごはんやお昼寝の時間は決まっていて、それまでにどこかの目的地へ行きある程度遊んで保育園に戻ってくるには、どうしても「9時ちょうど」に出発したいのであろう。たった一人のために出発を遅らせることはできないし、たった一人、遅刻を理由に園に残すのもかわいそうだと配慮してくれているのだと思う。我が家にも言い分はある。先生の気持ちもわかる。どうしたら良いのか。厚生労働省児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第(三十三条)」によると、国が定める保育士配置基準(最低基準)は次のようになっている。「0歳児/子ども3人に対し保育士1人、1~2歳児/子ども6人に対し保育士1人、3歳児/子ども20人に対し保育士1人、4歳児以上/子ども30人に対し保育士1人」。子どもを育てたことがある人ならわかるだろうが、3歳児20人の命を一人で預かることは一日中部屋のなかで過ごさない限り不可能だろう。かといって3歳児は一日中部屋のなかで過ごすことができない。そもそも一日中部屋のなかで過ごすことを1日8時間、週5日連続でなんてできないはずだ。私には、ひとりで3歳児20人を寝かしつけすることも、ひとりで3歳児20人にお昼ごはんやおやつを食べさせることも想像ができない。娘が通っている保育園は小規模・少人数のため、3歳児クラスには20人につき先生が1人しかいないということはないが、そもそも配置基準が間違っている。で、そもそも先生にとって負担が大きすぎるなかで、たとえば先に書いたような「朝が弱く、朝食をとったり支度をしたりするのが苦手な子」など一人ひとりに合った保育をすることはまず不可能であり、登園時間をきちんと守り、統率を取りやすい・管理しやすいことが重視されていくことに不安を感じた。同様のことが保育の現場だけでなく、義務教育でも起きているのは想像に難くない。本音を言えば5分、10分の遅刻くらいいいじゃんという気持ちもあるが(9時までに登園しているので)、子どもたちの命を預かってくれている先生たちの負担は増やしたくないので、できることなら8時50分までに登園したい。たかだか5分、10分。されど5分、10分なのだろうか。そうなの?