無職7日目の朝

編集部だった頃、わたしが、多くの人の目に触れても恥ずかしくない(と思える)文章を書けていたのは、心の底から尊敬する編集長がいたからだと思う。わたしが間違ったことを書けば「おかしいやろ」、適当に書いたら「心がない」、話の道筋がヘンテコだったら「意味わからん」、薄っぺらかったら「何を伝えたいん?」、ちょっと頑張っても「どこが悪いというわけではないんだけど、書き直し」、さらに書き直したものを提出したら「あなたならもっと書ける。時間はあるしもう一回自分で読み込んで、書き直してほしい」。毎回こんなことを言われた。原稿を提出したときはいつも緊張していたし、「良い原稿だね」って言わせたいって闘志に燃えていた。編集長に読んでもらうものだから半端なものは出せないし、編集長からOKをもらった暁には、自分が書いたものに対する不安や恐れがなくなって、自信を持って、安心して世に送り出すことができた。退職してからというもの、日々、書くトレーニングなんていいながらブログを量産している自分が、このうち一つでも自信を持って編集長に読んでもらえるものはあるのだろうか。この文章で自分をはかられても恥ずかしくないか。誰にもチェック(校正)されない、誰からも良いとも悪いとも変とも分からないとも言われないものを書きながら、自分で目的を明確にしないと、こんなの到底続けていけないなと思った。無職7日目の朝。