文章を書く仕事

業界の端くれながら文章を書く仕事をしていると、いつの間にか「伝える」ことよりも「美しい文章を完成すること」に気を取られていることが多々ある。私は大したテクニックを持ち合わせていないけれど、誰かから「文章が上手」と思われたいエゴイスティックな部分はある、と思う。 いいこと言ってる(ように見える)自分にうっとりしたりだとか、自分の視点や切り取り方に満足したりだとか、そういうのって衝動的に書いた文章と違って、熟考を重ねることでどうしても出てきてしまうのだけど(たぶん)、その度に、文章を書くとは本当に烏滸がましい行為だなあと思う。そして、その烏滸がましさを自覚していない人のことが私は苦手だったりする。ちょっと前に「特別養子縁組を利用し母を終えた私のはなし。」を読んで、その読ませる力に衝撃を受けた。冒頭、このような前置きがあった。

できるだけ頑張って文章を書きますがどうしても素人ですので読みにくさや無駄な文があるかもしれませんがご容赦ください。

テーマ自体が人の関心を集めやすいものだったということもあるとは思うけど、これは間違いなく彼女にしか書けないもので、誰かに届けようとする力が凄まじかった。文章を書くのに、素人とか玄人なんてのは一切関係ないと思った。

 

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「書き手として人にどう見られたいか」なんてことを気にしている自分、なんてダサいんだろう。文章を書くことを仕事にして、そのことにあぐらをかいていないか。もっと自分の感情とか伝えたいって衝動的な気持ちとか、改めてそういうことを大切にしたいなあと思う。