「マイナスをゼロにしても、誰も褒めてくれない」

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これかなあ。このあいだ運転しながらラジオを聴いていて、「虐待の連鎖」についての話があった。自身も親から激しい虐待を受けて育ったゲストが、ふとしたときに「自分の子どもは恵まれていて羨ましい」とか「自分はこんなことをしてもらえなかった」とか、虐待につながりそうな考え方になってしまうのだけど、必死に自分の代で虐待の連鎖を止めたのだという話をしていた。世間では「虐待をしない」ことは当たり前だから、いくら自分が虐待を受けて育ってきたという背景を持ち、自分にとっての子育てが「マイナスからのスタート」だったとしても、「虐待をしていない」ことは決して褒めてもらえることではないのだと。それが、自分にとってはいかに困難で、当たり前のことではないとしても、評価されないのだと話していた。だけどあるとき、息子と一緒にこたつに入ってのんびりしていたときに、息子から「お母さんはすごいね、虐待の連鎖を止めたんだね」と言われて、その言葉がすごく嬉しかったと言っていた。「息子の言葉は、私にとって勲章です。マイナスをゼロにしても、誰も褒めてくれない。私はずっと、自分の子どもには同じようにつらい思いをさせたくないと頑張ってきて、それが初めて認められたような気がした」というようなことを涙声で語っていて、それがすごく印象に残った。健康を保つこと、育児をすること、決められた時間に学校に行くこと、働くこと、自分の子どもを愛すること、世の中で当たり前とされていることが当たり前にできない人がいる、というよりも、みんな当たり前のような顔をして本当は無理をしたり頑張ったりして「当たり前」なフリをしているのではないか。最近は極力無理をしない、心に負担がかかることはしない、ということを心がけて生活しているのだけど、私はどうしても育児についてめちゃくちゃプレッシャーを感じていて、これはなんでかなあ。たまに「ちゃんと母親できてるか不安」ってなるし、自分の振る舞いをあとから思い出して反省したり落ち込んだりするのだけど、例えば夫は「ちゃんと父親できてるか不安」ってなるのだろうか。自分で自分を肯定するのは難しくて、もしかしたら女性は育児をするのも育児ができるのも当たり前なのかもしれないけれど、私はたまに褒められたい。たまにでいいから、誰かに肯定してほしい。頑張っていることを認められたい。