日記

久しぶりに能登まで行ってきた。金沢での取材を終えてから車で向かい現地で一件取材をしてそのまま帰ってくる弾丸スケジュールだったけど、のと里山海道から見下ろす海岸や荒波を見つめるカモメの群れ、穏やかな七尾湾は眺めていて気持ちが良くそれだけで清々しい気分に。帰りはカメラマンさんと「空が広いですね」とか言いながら街灯も少なく金沢と比べて本当に真っ暗な夜道を走りながら戻ってきた。本当に暗いから、車の中からでも星が見える。岩手県釜石市を訪れた大学四年生の夏、車の助手席に乗りながら本当に星が綺麗だと思った夜を思い出した。

 

昨日話を聞いた人が「この道に進んだのは31歳の頃、今からちょうど10年前」だと話していて、「思い立ったが吉日」とはよく言うけれど、何かを始めるのに遅すぎるなんてことはなく、むしろ新しいことに挑戦しようとしたら「今」がいちばん早いのだと思った。振り返ってみれば新卒で業界の端くれに紛れ込んだ私も今年で丸10年?一応何かを書く仕事を続けていて、20代よりも30代、これからの10年が大切な気がする。色んな人に会い話を聞きながら「やっぱり成功している人は努力しているなあ」と感銘を受ける一方で、じゃあ上手くいかない人が努力していないのかというと全くそうではなく、努力より何より、タイミングだったり時代だったり運だったりに左右されることも大いにある。どれだけ頑張ってもうまくいかないこともあるし立ち止まっているように感じられることも苦しいときもあるけれど、何年かして「あのときがあったから今がある」と振り返られたらいいなあと思うし、何より自分が好きなものを見失わずにいられるだけで十分なのではないかと思ったりする。

 

最近また(自分のなかで)濱谷浩ブームがきていて久しぶりに「雪国」を図書館で借りてきたのだけど、その佇まい、文字の並びを見ただけで美しくてうっとりする。いつも心に濱谷浩、市井の人々の暮らしこそ尊い

 

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