続日記

「すべて真夜中の恋人たち」、冒頭の一ページを額に入れて飾っておきたいほど美しい文章だ。「雨が降っているわけでもないのに濡れたようにふるえる信号機の赤。つらなる街頭。走り去ってゆく車のランプ。窓のあかり。帰ってきた人、あるいはこれからどこかへゆく人の手のなかの携帯電話。真夜中は、なぜこんなにきれいなんですか。真夜中はどうしてこんなに輝いているんですか。どうして真夜中には、光しかないのですか。」私はヨシタケシンスケを警戒していて、それは油断していると泣かしにかかってくるからなんだけど(「あんなに、あんなに」とかもう内容が想像できちゃって読めない)、保育園の図書コーナーで見つけた「このあとどうしちゃおう」が気になって娘ではなく自分のために借りて読んだら、やっぱり泣かしにかかってきてダメだった。ダメって全然悪い意味じゃなくて胸が苦しくなっちゃってダメだった。

 

娘が通っている保育園では、二歳から共通リュックを担いで通園する決まりになっている。今日、先生が用意してくれた緑色のチェックが可愛らしいリュックを娘に手渡したら、生まれて初めての自分のリュックに大興奮して、両手で抱えて飛び跳ねて、見かけた先生全員に声をかけて「パパとママが買ってくれた!」って自慢していて、その様子を見ながら母親ながらにすごく嬉しくて、というか嬉しいを通り越して涙が出そうになった。小学校に通い始めるときの気持ちってこんな感じなのだろうか。今日は娘にとっての人生初」イベントがもう一つあって、それはチョコレートを食べることだった。バレンタインデー。私の妹が、娘がミッフィ大好きなのを知っていてモロゾフとミッフィがコラボレーションしたチョコレートを贈ってくれたのだけど、娘に「チョコレートだよ、どうぞ」と化粧箱を開けて渡すと、箱に入った6粒のミッフィを一つずつ手に取って、食べ方が分からないのか一粒ごとにぺろっと味わって「チョコレイト、おいしい!」と感動して箱に戻すという動作を繰り返していた。生まれて初めてチョコレートを食べる人ってこんなリアクションをするのだなあとか、さぞかし美味しいだろうなあとか思いながら、子どもの生まれて初めてに立ち会える喜びを噛み締めた。