日記

黒部市美術館でキュンチョメの「魂の色は青」を観たあと、せっかくここまで来たのだからと糸魚川(新潟)まで足を伸ばそうと思ったが、富山で見る海も新潟で見る海も同じだろうと思い、最寄りの生地(いくじ)海岸まで車を走らせた。これまで何十往復もした新潟金沢間の海岸線、うまく言葉で書き表すことはできないが、ここは石川県、ここは富山の海、ここからは新潟というのは肌で分かる。田舎にある漁師町はどこも同じだろう、私の地元とそっくりで、平日の昼間はすごく静かだった。路上に乗り捨ててある車や軒先の洗濯物から、かろうじて人の存在を感じる。私も適当に車を停めて海岸沿いを歩いた。犬の散歩をしている人、階段に腰掛けて電話をしている人、美しい富山湾を写真におさめようとしている人。あまりに穏やかなので波打ち際を歩いたら、私の背丈と同じくらいの大きさがある魚の死体を見つけた。目がめちゃくちゃ綺麗だった。みみずよりもさらに太い寄生虫が腹のあたりに突き刺さっていた。灯台まで歩いて再びこの魚のもとへ戻ると、今度は沖に向かって流されていた。海に帰っていくように見えた。何度も何度も新潟に帰りたいと思ってきたけれど、本当は、どこに住んだって一緒だって知っている。みんな海でつながっている。

 

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