二十五日目と二十六日目。

夫の趣味はスキーだ。いや、趣味って言うと怒られるような気がする。夫はスキーヤーだ。技術の上達を目指して県内外のスキー場に足繁く通い、大会にもたびたび出場している。毎朝、全国にあるスキー場のライブカメラをチェックし、平日も朝早くから家を出て隣県のスキー場でトレーニングをして午後から仕事に行くほど没頭している。もはや恋。さて、夫が平日の午前中にスキーをしに行くということは(夫にとってスキーは遊びやリフレッシュではなく「練習」)イコール私が終日ワンオペ育児をするということで、そういう日はだいたい心が病む。

 

育児って終日家にいて、子が泣けば授乳をしてオムツを替えて、寝ている時間はフリータイムってイメージがあるじゃないですか。少なくとも私はそう思っていた。ヒマじゃないのかなって。でも実際にやってみると超大変で、何が一番大変か考えてみたのだけど、それは「子が次にいつ泣く(起きる)のか分からない」ということだった。「必ず○時間おきに起きる」とかだったら予定も組みやすいんだけど、仕事でよく言う「傾向と対策」みたいなのが一切通用しない。「子が4時間おきに起きるようになりました!アッパレ!」なんて浮かれたブログをつい先日書いたばかりだけど、今日は4時間、2時間、2時間半、といった間隔で起きている。次にいつ起きるか分からないから、おかげでこちらは常に臨戦態勢だ。

 

例えば、朝7時に起こされる。搾乳しておいたおっぱいを温め、そのあいだにオムツを替え、人肌程度に温度調整したミルクを飲ませる。飲ませ終わったらゲップをさせて、再度オムツをチェックし(赤ちゃんは飲みながら排泄することが多々ある)、寝落ちまたは寝るまであやす。ここまでで最低1時間はかかる。さて、次の授乳時間まで残り2〜3時間。まずは哺乳瓶を洗って消毒する。搾乳をする場合は更に30分がかかる。ここから子が起きるまでにすべきこと・やりたいことの優先順位を付けていく。顔を洗うか、とりあえず朝食を食べるか、洗濯物はいつ回すか、新聞を読む余裕があるのか・・・。子が目を覚ましてぐずればその度に子最優先でその他の作業は一時停止する。ぐずってから1時間寝てくれてないこともある。1時間のロスタイム!!!!!そんなこんなで気が付いたら11時。子は起きるスタンバイを始めたのが、ふにゃふにゃグスグスし始める・・・終日そんな繰り返しである。

 

そういえば、妊婦歯科検診でお医者さんに「産後は口内衛生が悪くなりがちなので注意してくださいね」と言われた。忙しすぎて歯を磨くタイミングを失ってしまうらしいのだ。大学生の頃、歯科助手のバイトをして以来歯磨きフェチになり、一度に最低20分間は歯を磨いているほどの私に限ってそんなことはないと思っていたのだけど、出産後、案の定「優先順位」に「歯磨き」もリストアップされ、さらに、そのなかでふるいにかけられ優先度が低くなってしまったのには自分でも驚いた。歯を磨くヒマもねえ。食後にすぐ歯を磨けていた頃が懐かしい。そういえばつわりのときも歯磨きできなかったなあ。

 

ということで一月二十八日、怒涛のワンオペをしていたら午前中でストレスの限界値を超えてしまい、昼、スキーから帰ってきた夫と喧嘩した。喧嘩したいわけでもスキーに行かないで欲しいワケでもないんだけどなあ。元々完璧主義なので(私が)、洗濯物なんて今日しなくっても死ぬわけじゃないのに、なんとか時間を工面して一生懸命やってしまう。お弁当作りなんて一日くらいサボればいいのに、「本当はここらで一息つきたいのに」とか思いながらも作っちゃう。そんな小さな我慢と意地の積み重ねで小爆発をたびたび起こすのが産後の私の傾向で、夫は「そうなる前にもっと頼って欲しい」と言うんだけど、人に何かお願いしたり頼ったりするのって昔から苦手なのだ。そういえばこの状況、会社員時代にも陥ったことある。ちなみに当日の夜か翌日(うろ覚え)仲直りしました。

 

 

一月二十九日は、夫用のコニーの抱っこ紐が届いた。夫はさっそく試着し、赤子に付き合ってもらいながら数回装着の練習をして早くも使い方をマスター、子を上手に抱っこしていた。授乳をしたりゲップをさせたり抱っこしたりしていたら、ふと、人生で私と子がこんなに身体を密着させる機会は、子が幼い間しかないだろうなあと思った。精一杯の力を振り絞って必死にミルクを飲む子を見ていると、生きようとする力強さに感動する。

 

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