日記

二月の金沢にしては感心するほど綺麗な青空で、バイト先のすぐそばにあるカフェは私の出勤する頃にはすでに賑わっていた。私が働いているような飲食店はよく晴れた日には来店が多く、外に出るのも躊躇うような雨や嵐の日には店はものすごくヒマで(だって外に出られないのだ)、天候が人に与える影響の大きさを実感する。今日は11時半の開店以来ひっきりなしにお客さんが訪れ、平日の昼にしては一品料理をつまみにお酒を楽しんでいる人も多く、かけ蕎麦よりも圧倒的にもり蕎麦の方が多く出た。店内の照明を付けなくても良いのではないか思うほど窓からは気持ちの良い日差しが差し込んできて、バイトが終わる頃には私は少し汗ばんでいたほどだった。楽しそうに入店し、席につくやいなや地酒の原酒をオーダーした二人組。注文のひとつに「はまぐりの酒蒸し」があって、「はまぐり」の響きに、一気に春を感じた。一緒に出勤していた人に「はまぐりってなんか春らしいですね」と話しかけ、「そうやね」「はまぐりの旬って春なんですかね」「貝だし通年ありそうだよね。だけど春っぽいよね」みたいなやりとりをした。私は基本的にお客さんから注文をとってオーダーを通し配膳をする、いわゆるホールの担当をしているのだけど、少し客足が鈍り落ち着いたときにふと厨房に目をやると、大きな窓からは思わず感動してしまうくらい綺麗な光が入ってきていた。冬も好きだけどだんだんと春が楽しみになってきたし、そうやって季節が巡っていくのが嬉しい。